この記事では、スーツのアイロンがけについて詳しくお伝えしていきます。
スーツにシワが付いたり、スラックスのセンタープレス(折り目)が取れてきた場合には、多くの方が基本的にクリーニングを利用していると思います。しかし、毎回毎回クリーニングを利用するとなるとかなりのお金がかかってしまい、家計に大打撃を与えてしまうことにもなりかねません。
実は、ポイントさえ押さえておけば、スーツは自宅でもアイロンをかけることが可能です。ぜひ、自宅でのアイロンがけをマスターし、スーツを「ビシッ!」とした状態に保つだけでなく、クリーニングにかかる費用の節約にも役立ててほしいと思います。
【Before】 | 【After】 |
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スーツのアイロンがけ|事前の注意点について
スーツのアイロンのかけ方をお伝えする前に、準備しておくアイテムや事前に知っておくべき知識について、まずはお伝えしておきたいと思います。
- 『霧吹き(スチームアイロンでも可)』と『当て布』を準備する
- 縫い目やラインに沿って、”やさしく”アイロンをかける
- スーツの生地によって、”適切な温度設定”でアイロンをかける
- スーツにアイロンをかける適切な頻度について
実際にアイロンをかける前の注意点としては、大きく上記の4つがポイントとなってくるので、順番に解説していきたいと思います。
①『霧吹き(スチームアイロンでも可)』と『当て布』を準備する
スーツのアイロンがけにおいて、アイロンやアイロン台も必須アイテムではありますが、『霧吹き』と『当て布』はかなり重要な役割を果たすアイテムです。スーツのアイロンがけでは事前に揃えておくようにしましょう。
『霧吹き』と『当て布』の必要性について、簡単に解説しておきます。
『霧吹き(スチームアイロンでも可)』の必要性について
霧吹きやスチームアイロンは、スーツに適度に水分を含ませるために必要なアイテムです。
スーツだけでなく、衣類の多くは水分を適度に含ませてアイロンがけすることで、シワが伸びやすくなるだけでなく消臭効果も期待できます。霧吹きやスチームアイロンのスチームを活用し、スーツが湿るくらいの水分を含ませてから、アイロンがけをするようにしましょう。
『当て布』の必要性について
当て布とは、アイロンがけの際にアイロンとスーツの間に挟む布のことを指します。できれば綿100%の布が理想的ですが、自宅にある薄手のハンカチや手ぬぐいでも問題ありません。
当て布の上からアイロンがけをすることで、スーツの生地が傷みにくくなるだけでなく、スーツのテカリを予防してくれる効果もあるので、スーツのアイロンがけには必ず当て布を使うようにしてください。
②縫い目やラインに沿って、”やさしく”アイロンをかける
スーツのアイロンのかけ方の基本は、”やさしく”アイロンをかけるのがポイントです。力を入れ過ぎてしまうと、付いてほしくない部分に折り目が付いてしまったり、生地にテカリが出てしまいます。
また、縫い目やラインに沿ってアイロンをかけることで、シワが伸ばしやすく仕上がりもキレイになります。縫い目やラインも意識しながら、アイロンをかけるように心がけてください。アイロンを持っていない方の手を上手に使って、シワを伸ばしながらアイロンをかけることも意識しましょう。
③スーツの生地によって、”適切な温度設定”でアイロンをかける
スーツのアイロンがけでは、アイロンの温度設定もかなり大切なポイントです。
温度が高過ぎても生地を傷めてしまいますし、反対に温度が低過ぎてもスーツをキレイに仕上げることができません。スーツのタグに記載されている洗濯表示を必ず確認し、洗濯表示にしたがってアイロンの温度を設定しましょう。(洗濯表示の正しい見方は、こちらを参考にしてください。)
スーツの生地の種類によって、アイロンの適切な温度はある程度決まっています。下記の表を参考に、アイロンの温度設定をしてください。
【新】洗濯表示 【旧】洗濯表示 |
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【新】洗濯表示 【旧】洗濯表示 |
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【新】洗濯表示 【旧】洗濯表示 |
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【新】洗濯表示 【旧】洗濯表示 | アイロンがけ禁止 |
④スーツにアイロンをかける適切な頻度について
スーツにアイロンをかける頻度についてですが、あまり頻繁にアイロンをかけると生地が傷んでしまうので、1週間に1回程度の頻度が適切と言えます。あとは、折り目が取れかかってきたタイミングや、かなり強いシワが付いてしまったときにアイロンをかけるのが良いでしょう。
また、においのケアなどのことも考えると、着る度にスチームを当てるだけの時短アイロン術を使うのもおすすめです。スチームの熱は消臭効果や殺菌効果があるので、スーツを衛生的に保つことができます。できる範囲でスーツを着る度に時短アイロン術をやってみてください。(時短アイロン術については後ほど詳しく説明しますが、今すぐチェックしたい方はこちらからチェックしてください。)
スーツのアイロンがけ手順【ジャケット編】
ここからは、スーツのジャケットのアイロンがけについて、写真を使いながら詳しくお伝えしていきます。
- 肩(かた)~袖(そで)上部
- 袖(そで)
- 前身頃(まえみごろ)
- 襟(えり)
- 後身頃(うしろみごろ)
ジャケットのアイロンがけの手順は、上記の順番で行うようにしてください。では、写真を使って順番にポイントを解説していきたいと思います。
①肩(かた)~袖(そで)上部
ジャケットをアイロン台に着せるように置き、肩から袖にかけて肩のラインが崩れないように注意しながら、やさしくアイロンをかけていきます。
②袖(そで)
袖のアイロンがけは、立体感が失われないようにひと工夫する必要があります。バスタオルを筒状に丸めて袖に入れ、折り目が付かないように注意しながら全体にアイロンをかけていきましょう。脇側から袖口側に向かってアイロンをかけるようにしてください。
袖口の部分は、内側もアイロンをかけるようにしましょう。ふとした時に見える部分なので、この部分もしっかりアイロンがけしておくと印象が良くなります。
③前見頃(まえみごろ)
前身頃は、左右で別々にアイロンがけをしていきます。襟側から裾側に向かってアイロンをかけていくようにしましょう。
内ポケットのボタン部分やボタンが付いている部分は、出っ張りがあったり細かい部分なので、少しアイロンがかけにくいです。やさしく丁寧にアイロンをかけることを心がけてください。
④襟(えり)~ラペル
襟は裏側からアイロンがけをしていきましょう。裏側からアイロンをかけたら、熱が冷めないうちに襟を折ってラインを決めていきます。襟のラインを決めたら、ラペル(前身頃の襟部分)にやさしくアイロンをかけ、熱が冷めないうちに形を整えましょう。
⑤後見頃(うしろみごろ)
後身頃(背中部分)のアイロンがけは、アイロン台にジャケットを羽織らせるようなイメージで置き、襟側から裾側に向けて中心の縫い目から外側に広げるように、アイロンをかけていきましょう。
後身頃のアイロンがけが終わったら、ジャケットのアイロンがけは完了です。
コツをつかんで慣れるまでは少し大変かもしれないですが、1度慣れてしまえば意外とラクにアイロンがけをすることができます。クリーニングに出す手間やお金の節約にもつながるので、ぜひジャケットのアイロンがけにチャレンジしてみてほしいと思います。
また、スーツと並ぶビジネスアイテムである、ワイシャツのアイロンがけについても下記の記事で詳しくお伝えしています。ワイシャツの方がアイロンをかける頻度が高いので、ワイシャツのアイロンがけも参考にしてみてください。
この記事では、ワイシャツのアイロンのかけ方について、詳しくお伝えしていきます。アイロンがけは、ワイシャツを自宅で洗濯している場合、ほとんどのご家庭で日常的に行っている作業ではないでしょうか?その一方で、「手間がかかって面倒!」であっ[…]
スーツのアイロンがけ手順【スラックス・パンツ編】
続いて、スラックス・パンツのアイロンがけについて、写真を使いながら詳しくお伝えしていきます。
- 腰回り(こしまわり)
- 膝(ひざ)
- 裾(すそ)
スラックス・パンツのアイロンがけの手順は、上記の順番で行うようにしてください。では、ジャケットと同様に、写真を使って順番にポイントを解説していきたいと思います。
①腰まわり(こしまわり)
前側と後側を同時にアイロンがけしないように、アイロン台にスラックスを穿かせるようにして置き、腰回りをぐるっと一周アイロンがけしていきます。ファスナーを開けておき、ファスナー部分に気を付けながらアイロンをかけていきましょう。
②膝(ひざ)
左右の膝部分で別々にアイロンをかけていきます。片方ずつセンタープレス(折り目)に沿って折り、アイロン台に置いて腰側から裾側に向かって、センタープレスが付くようにしっかりとアイロンをかけていきましょう。
センタープレスがしっかり付いているのといないのとでは、見た目の印象にかなりの差が出てきます。股下2cmくらいまでセンタープレスが付くように、しっかりとアイロンがけをしてください。
③裾(すそ)
裾部分は表側だけでなく、裏側も忘れずにアイロンがけしましょう。こうすることでしっかりとシワが伸び、スラックスの足元の印象がグッと良くなります。
毎日できる!スーツの時短アイロン術を紹介
こちらでは、あまり時間をかけずにできる時短アイロン術について、詳しくお伝えしていきます。
- ジャケット、スラックスをハンガーにかける
- 強いシワには霧吹きを使う
- 全体的にスチームをかけていく
- 熱が冷めるまでハンガーにかけたまま放置する
アイロンがけする時間をあまり作れない場合や、毎日のお手入れの一環で簡単にアイロンをかけておきたい場合など、活用できる場面はいくつもあると思うので、ぜひ参考にしてみてください。
①ジャケット、スラックスをハンガーにかける
時短アイロン術においては、ジャケットとスラックスはハンガーにかけたままアイロンをかけていきます。それぞれのハンガーにかけておきましょう。
②強いシワには霧吹きを使う
かなり強く付いてしまっているシワについては、スチームの水分だけだと取れないことがあるので、その場合はシワに霧吹きを使ってシワを伸ばしていきましょう。
③全体的にスチームをかけていく
スチームアイロンでスチームをスーツ全体にかけていきます。シワがある部分は、少し長めにスチームをかけるとシワが取れやすくなります。また、アイロンを持っていない方の手でスーツを少し引っ張りながらスチームを当てると、シワが伸びやすいので効果的です。
④熱が冷めるまでハンガーにかけたまま放置する
スーツ全体にスチームをかけ終わり、ある程度シワも取れたら、ハンガーにかけたままスーツが冷めるまで放置してください。スーツが熱を持っている間はシワも付きやすいので、そのままクローゼットに保管するとシワが付いてしまいます。また、スーツ自体の重みでシワを伸ばす効果もあります。
しかし、時短アイロン術でも面倒だと感じる方は、自宅にいたままクリーニングが出来るリネットなどがおすすめです。アイロンがけは面倒な家事ランキングで常に上位にいるので、やはり面倒だと思う様になった時には是非以下の体験談を参考にしてみてください。
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【Q&A】スーツのアイロンがけに関する疑問を解消します!
ここでは、スーツのアイロンがけに関する疑問をQ&A方式で解消していきたいと思います。きっと多くの方が疑問に思うであろう内容をピックアップしたので、疑問の解消に役立てたら幸いです。
Q:スーツのアイロンがけに、おすすめのアイロンはありますか?
A:基本的には今お持ちのアイロンで問題ありません!
新しくアイロンを買うとなるとお金がかかりますし、今持っているアイロンでも十分キレイに仕上げることができます。
しかし、「どうしてもスーツのアイロンがけに適したアイロンが欲しい!」という方は、それなりのお値段はしてしまいますが、スチーム量が多いアイロンを選ぶと良いでしょう。コードレスのアイロンより、電源コード付きのアイロンの方がスチーム量が多いですが、コードレスのアイロンの方が取り回しがラクなのでお好みで選んで良いと思います。
Q:自宅でスーツにアイロンがけをして大丈夫なのでしょうか?失敗したりしないですか?
A:洗濯表示を確認し、しっかりポイントを押さえれば大丈夫です!
まず、スーツの中にはアイロンがけをしてはいけないスーツもあります。必ず洗濯表示を確認し、『アイロン仕上げ禁止』のスーツじゃないかを確認してください。
あとはこの記事でも解説しているように、下記の4つのポイントを押さえてアイロンがけをしてください。
- 『霧吹き』と『当て布』を活用する
- ”やさしく”アイロンがけをするのが基本
- アイロンの温度設定は、必ず洗濯表示に従う
- アイロンは適度な頻度でかけること
このポイントを押さえておけば、大きな失敗をするようなことはないでしょう。
また、アイロンがけと同様にポイントを押さえておけば、自宅でスーツを洗濯することも可能です。下記の記事でスーツの洗濯方法を解説しているので、気になる方は参考にしてみてください。
この記事では、スーツの洗濯方法について知っておくべき基礎知識から、詳しい洗濯方法までをお伝えしていきます。「基本的にスーツはクリーニングに出す!」と言う方がかなり多いかと思います。でも、実はポイントさえしっかり押さえておけば、自宅で[…]
Q:自宅でスーツにアイロンをかけるとなると”テカリ”が心配です。おすすめのテカリ対策はありますか?
A:『当て布』を使ってアイロンがけしましょう!
当て布を使わずにスーツにアイロンをかけると、生地の繊維がアイロンで押しつぶされてフラットな状態になります。この状態が光を反射し、スーツに”テカリ”が生じてしまうことなります。当て布を活用することで、生地の繊維が押しつぶされるのを防ぎ、”テカリ”を予防することができます。
また、スーツの肘やお尻の部分は、摩擦などの負荷がかかりやすい部分なので、生地の繊維が押しつぶされやすくテカリやすい部分です。少しでも負荷がかかる頻度を減らすため、複数のスーツを着回すようにすると良いでしょう。
また、スーツのテカリが気になる場合には、下記の記事でテカリの解消法を詳しく解説しているので、気になる方は参考にしてください。
この記事では、スーツのテカリの『原因』から『解消法』、さらに『予防法』までを詳しくお伝えしていきます。お気に入りのスーツがテカってしまった場合、「テカリの取り方が分からないから、仕方ないけど買い替えかな?」といった感じで、スーツのテ[…]
Q:アイロンなしで、簡単にスーツのシワ伸ばしをする方法はありますか?
A:霧吹きでスーツのシワに水分を含ませ、ハンガーにかけたまま一晩放置しましょう!
アイロンがけをしないまでも、スーツのシワを伸ばすにはスチームアイロンのスチームを当てるだけの、時短アイロン術が効果的です。
しかし、霧吹きでシワに水分を与え、ハンガーにかけたまま一晩放置する方法であれば、アイロンなしでもシワを伸ばすことができます。これは、水分を与えてシワが伸びやすい状態にし、スーツ自体の重みでシワを伸ばす方法です。ちゃんとアイロンがけをした時と比べると、やはりシワの伸び方は見劣りしてしまいますが、時間をかけずにシワのケアをしたい場合にはおすすめです。
また、普段のお手入れでもある程度シワを予防することができるので、下記の記事を参考にできる範囲でスーツのお手入れをするのもおすすめです。
この記事では、スーツのお手入れについて詳しく解説していきます。スーツを良い状態に保ち、着た時にも『ビシッ!』とした印象を持たせるには、日ごろからのお手入れがとても重要です。また、せっかく買ったお気に入りのスーツですから、「できるだけ[…]
まとめ|スーツのアイロンがけを覚えて、見た目の印象をアップさせよう!
ここまでスーツのアイロンがけについてお伝えしてきました。ポイントさえ押さえてしまえば、スーツでも自宅でアイロンがけできることが分かったと思います。
- スーツのアイロンがけには、『霧吹き』と『当て布』が必須アイテム
- スーツのアイロンがけは、アイロンの温度設定に注意する
- ジャケットとスラックス(パンツ)で、それぞれアイロンがけの手順がある
- アイロンがけの時間がない場合には、時短アイロン術を活用する
スーツのアイロンがけを覚えることで、いつでもシワのないスーツを着ることができ、クリーニング料金も節約することができます。また、自分でアイロンがけをすることでスーツにも愛着が湧き、お気に入りのスーツと長くお付き合いしていくことにもつながるので、ぜひスーツのアイロンがけにチャレンジしてみてほしいと思います。
中には「アイロンがけをする時間を節約したい!」という方もいらっしゃると思います。その場合は、適度な頻度でクリーニングに出してしまった方が良いかもしれません。スーツのクリーニングについては、下記の記事で詳しく解説しているのでそちらを参考にしてください。
この記事では、知っておくと良いスーツのクリーニングに関する基礎知識や、さまざまな疑問について解説していきます。スーツは比較的高価で、ワイシャツなどと比べると気軽に買い替えることが難しいビジネスアイテムです。せっかくお気に入りのスーツを高[…]