この記事では、スーツのお手入れについて詳しく解説していきます。
スーツを良い状態に保ち、着た時にも『ビシッ!』とした印象を持たせるには、日ごろからのお手入れがとても重要です。また、せっかく買ったお気に入りのスーツですから、「できるだけ大切にして、長く着たい!」と思っている方も少なくないはず。スーツを楽しくお手入れすることができれば、楽しみながらスーツを長持ちさせることができて一石二鳥です。
ここからはスーツの詳しいお手入れ方法や、おすすめのお手入れグッズを順番に詳しく解説していきます。スーツを楽しくお手入れし、お気に入りのスーツと長くお付き合いするためのキッカケとなれば幸いです。
スーツのお手入れはなぜ必要?
スーツは着る度に汗や皮脂、ホコリやゴミが付着するので、着るだけで生地にダメージを蓄積していきます。スーツのお手入れをせずにそのままスーツを着続けると、どんどん生地にダメージが蓄積していき、結果的にスーツの寿命が短くなってしまいます。また、汗や皮脂についてもお手入れをしていないと、匂いの原因や雑菌が繁殖したりするため、虫食いの要因となったりもします。
「買って間もないスーツなのに、ちょっとくたびれて見える…」といった場合も、スーツのお手入れ不足が原因かもしれません。スーツのお手入れは、『スーツの生地をダメージから回復させること』なので、やっておいて損をすることはありません。また、シワやテカリの予防にもつながるので、スーツを着た際の印象にもかなり影響を与えます。
できる範囲でも良いので、この記事で解説しているお手入れ方法を取り入れ、スーツのお手入れをしてほしいと思います。
スーツのお手入れの基本|”4つのお手入れ方法”を解説します!
ここでは、スーツのお手入れ方法の基本について解説していきます。
- スーツ専用のハンガーを使う
- 数着で着回し、スーツを休ませる
- ブラッシングをする
- シワのケアをする
スーツのお手入れでは、上記の4つの方法が基本となります。
「スーツのお手入れをしている時間なんてない!」と言う方もいらっしゃると思いますが、上記のお手入れ方法の①や②は、時間がかかるということはありません。できる方法から取り入れていくようにしましょう。
では、順番に解説していきたいと思います。
①スーツ専用のハンガーを使う
スーツに使うハンガーは、ジャケット用とスラックス用で専用のハンガーを使いましょう。
スーツ専用のハンガーを使うことで、スーツの型崩れやシワを予防することができます。ハンガーの素材は、できれば木製のハンガーがベスト。着ていた時にスーツが吸収した汗などの水分を、ハンガーの木材が適度に吸収してくれます。また、スーツをハンガーにかける際には、ポケットの中身はすべて出すようにしてください。ポケットの中に物を入れていると、その重みで型崩れしてしまうことがあります。
クリーニング屋さんの針金ハンガーやプラスチックハンガーを使っている方も多いかと思いますが、ハンガーが細すぎてスーツの型崩れの要因となってしまいます。スーツ専用ハンガーは、肩部分が3cm~5cmほど厚みのあるハンガーを選んでください。
ハンガーの選び方については、下記の記事でおすすめハンガーと一緒に解説しています。良かったら参考にしてください。
この記事では、スーツのハンガーについて詳しくお伝えしていきます。「スーツのハンガーは、クリーニング屋さんのハンガーをそのまま使っている!」と言う方もけっこういらっしゃると思いますが、実はそれがスーツの型崩れの原因となったりします。ハ[…]
②数着で着回し、スーツを休ませる
スーツは1日着たら、2日は休ませるのが理想的です。最低でも1日は、風通しの良い場所で直射日光を避けて休ませるようにしましょう。
スーツは1日着ると、汗などの水分を吸収して生地にダメージを与えてしまいます。この汗などの水分は、2日ほど休ませて乾燥させることで、スーツの生地のダメージを回復させることができます。1着のスーツだけを着続けると、スーツを休ませることができず、生地にダメージが蓄積し続けることになるので、スーツの寿命が短くなったりテカリが出やすくなります。
スーツを『1日着たら、2日は休ませる』ためには、3着以上のスーツが必要です。できる範囲でスーツを購入し、複数着で着回すようにしてください。
③ブラッシングをする
スーツは1回着たらブラッシングをするのが理想的です。最低でも、3回着たらブラッシングをするようにしましょう。
スーツに付着したホコリやゴミを取り除くことができ、生地表面を整えることでテカリや毛玉ができるのも予防することができます。こまめにブラッシングするだけでもスーツを良い状態に保つことができ、スーツの寿命は格段に長くなります。できる範囲でこまめにブラッシングをするように心がけてください。
詳しいブラッシングの方法については後ほど解説するので、そちらを参考にしてください。
④シワのケアをする
スーツのシワのお手入れは、できれば着る度に行うのが理想です。目立つシワになってしまう前に、しっかりお手入れをするようにしましょう。
しかし、なかなか時間が取れず、着る度に行うというわけにはいかないと思います。それでも、シワが気になってきたらお手入れをするように心がけてください。スーツのシワは、スーツを着た際の印象に大きく影響を与えます。シワだらけのスーツを着ることがないように、シワのお手入れはしっかりしておくと良いでしょう。
詳しいシワのお手入れ方法については後ほど解説するので、そちらを参考にしてください。
スーツのお手入れの基礎!正しいブラッシング方法を伝授します
ここでは、スーツのブラッシングについて詳しく解説していきます。
- スーツのホコリやゴミを取り除き、虫食いなどを予防することができる
- 生地表面の繊維を整え、テカリや毛玉を予防することできる
スーツはブラッシングするだけで、上記のようなメリットがあります。結果として、スーツを良い状態に保つことができ、スーツの寿命を延ばすことができるので、まずはできる範囲でブラッシングをすることから始めましょう。
スーツのブラッシング|意識したい”4つのポイント”
スーツのブラッシングの手順を解説する前に、ブラッシングをする際のポイントを4つお伝えしておきたいと思います。
着る度に毎回ブラッシングするのが理想!最低でも、3回着たらブラッシングする!
スーツを着たら毎回ブラッシングすることで、毎回生地のダメージをリセットさせることができます。しかし、毎回となると時間がなくて難しいかもしれません。毎回はブラッシングできなくても、3回着たらブラッシングすることを心がけるようにしてください。
ブラシは横向きに、広範囲をブラッシングする!
ブラシは水平に持ち、そのままブラッシングするようにしましょう。水平にブラッシングすることで、効率良く広範囲をブラッシングすることができます。
あまり力を入れ過ぎず、やさしくブラッシングする!
ブラッシングに力を入れ過ぎてしまうと、逆にホコリやゴミが生地に埋まってしまいます。また、スーツの生地を傷めてしまうので、スーツの寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。ブラッシングはやさしくかけるようにしましょう。
まずは『下から上』、次に『上から下』に向けてブラッシングする!
ホコリやゴミをかき出すようなイメージで、まずは下から上に向かってブラッシングしてください。ひと通り下から上に向けてブラッシングが終わったら、次は上から下に向けてブラッシングしていきましょう。
スーツのブラッシング|詳しい手順を解説
では、詳しいブラッシングの手順について、写真を使いながら解説していきたいと思います。
- 両袖(そで)をブラッシングする
- 前身頃(みごろ)をブラッシングする
- 後身頃(みごろ)をブラッシングする
- 襟(えり)を裏返してブラッシングする
- 襟(えり)を戻し、襟(えり)と肩をブラッシングする
- スラックスをブラッシングする
上記がスーツをブラッシングする手順です。それぞれ『下から上』⇒『上から下』の順にブラッシングしていきましょう。では、順番に詳しい手順についてお伝えしていきたいと思います。
①両袖(そで)をブラッシングする
袖口に手を入れ、袖全体が平面になるようにしてブラッシングしていきます。『下から上』⇒『上から下』の順番で、左右両方の袖をブラッシングしましょう。
②前身頃(みごろ)をブラッシングする
前身頃(みごろ)もブラッシングしていきます。左右のどちらからでも問題ないですが、ここでも『下から上』⇒『上から下』の順番で左右の前身頃をブラッシングしましょう。
③後身頃(みごろ)をブラッシングする
後身頃(みごろ)は左右に分かれていないのでブラッシングしやすいです。『下から上』⇒『上から下』の順番でブラッシングしていきましょう。
④襟(えり)を裏返してブラッシングする
襟(えり)の裏側もしっかりとブラッシングしていきます。細かいホコリをかき出すように、『下から上』⇒『上から下』の順にブラッシングしましょう。
⑤襟(えり)を戻し、襟(えり)と肩をブラッシングする
襟(えり)と肩の部分は、特にホコリやゴミが付きやすい部分です。念入りに『下から上』⇒『上から下』の順番でブラッシングしてください。
⑥スラックスをブラッシングする
スラックスは裾(すそ)側を下にして、『下から上』⇒『上から下』の順番でブラッシングしていきます。左右の足の外側と内側の両面をブラッシングしていきましょう。
スーツのシワを伸ばす!スチームアイロンを使ったお手入れ方法
こちらでは、スーツのシワのお手入れ方法として、スチームアイロンを使ったお手入れ方法を詳しくお伝えしていきます。
- ジャケット、スラックスをそれぞれハンガーにかける
- 強いシワには霧吹きを使う
- シワにスチームをかけていく
- 熱が冷めるまでハンガーにかけたまま放置する
シワのお手入れは上記の手順で行っていきます。多少時間と手間はかかりますが、かなり強く付いてしまったシワでも取ることができます。また、スチームを使うことで匂いのケアもできるのでおすすめです。
では、詳しい手順を写真を使いながら解説していきます。
①ジャケット、スラックスをハンガーにかける
スーツのシワのケアは、ハンガーにかけてまま行っていきます。ジャケットとスラックスは、それぞれ専用のハンガーにかけておきましょう。
②強いシワには霧吹きを使う
かなり強く付いてしまっているシワについては、スチームの水分だけだと取れないことがあるので、その場合はシワに霧吹きを使って水分を補っていきます。
③シワにスチームをかけていく
スチームアイロンでスチームをシワに当てていきます。強く付いているシワには、少し長めにスチームをかけるとシワが取れやすくなります。また、アイロンを持っていない方の手でスーツを少し引っ張りながらスチームを当てると、シワが伸びやすいので効果的です。
④熱が冷めるまでハンガーにかけたまま放置する
シワにスチームをかけ終わりある程度シワも取れてきたら、ハンガーにかけたままスーツの熱が冷めるまで放置してください。スーツが熱を持っている間は、シワが付きやすい状態です。そのままクローゼットに保管せず、風通しの良い場所で放置してください。
スラックスにおいても、同じ方法でシワのお手入れをしていきましょう。
また、もっとしっかりシワのお手入れをしたい場合には、スーツをアイロンがけするのがおすすめです。ポイントを押さえておけば自分でアイロンがけすることが可能なので、自分でスーツをアイロンがけする場合は下記の記事を参考にしてください。
この記事では、スーツのアイロンがけについて詳しくお伝えしていきます。スーツにシワが付いたり、スラックスのセンタープレス(折り目)が取れてきた場合には、多くの方が基本的にクリーニングを利用していると思います。しかし、毎回毎回クリーニン[…]
スーツのお手入れグッズ”おすすめ3選”を紹介
ここでは、これまでに解説してきたスーツのお手入れ方法の中で、おすすめのお手入れグッズを紹介していきたいと思います。
- ジャケット用ハンガー『DEWEL 高級木製ハンガー』
- スラックス用ハンガー『LITTLE HOTTIES ズボンハンガー』
- 衣類用ブラシ『ケント静電気除去洋服ブラシ』
上記の3つは、コストパフォーマンスも優れているお手入れグッズです。お手入れグッズもお気に入りの物を使うことで、お手入れ自体も楽しくなってくる効果があります。お手入れグッズ選びの参考にしてください。
【おすすめ①】ジャケット用ハンガー『DEWEL 高級木製ハンガー』
スーツのジャケット専用木製ハンガーです。このハンガーは木製でありながらも、amazonで5本セットで2,299円と手が出やすいのがおすすめポイントです。木製ハンガーをまだ持っていなくて、スーツのサイズと合うのであれば、このハンガーの購入を検討しても良いでしょう。
ちなみに、スーツ専用ハンガーだと『NAKATA HANGER』などが高級ブランドとして有名です。ハンガーとしての質はもちろん1級品と言えますが、値段が1本でも4,000円以上するので、なかなか手が出にくいと言えるでしょう。しかし、多少高くても質を優先する場合にはおすすめです。
【おすすめ②】スラックス用ハンガー『LITTLE HOTTIES ズボンハンガー』
スーツのスラックス専用木製ハンガーです。このハンガーも木製でありながら、amazonで12本セットで2,490円と手が出やすいのがおすすめポイントです。造りもしっかりしていて、スラックスに挟んだ跡が付かないように、挟む部分の内側にはフェルトが貼ってあります。値段のわりに質が良いので、スラックス用ハンガーをまだ持っていない方は、購入を検討しても良いでしょう。
ちなみに、スラックス用ハンガーも『NAKATA HANGER』から販売されています。上記のスラックス用ハンガーと同じ『スボン吊りタイプ』であれば、5本で9,900円しますが質は1級品です。ジャケット用ハンガーと同様、多少高くても質を優先する場合にはおすすめします。
【おすすめ③】衣類用ブラシ『ケント静電気除去洋服ブラシ』
高級スーツのブラッシングにも対応できる、衣類用のブラシです。天然の白馬毛が使用されているので、ブラシに程よいコシがあり、スーツの生地を傷めることなくブラッシングすることができます。また、静電気を除去してくれる繊維が混ぜてあるので、静電気で付着しているホコリなどもしっかり落とすことができます。
こちらはamazonで3,434円で購入することができます。少し高いと感じるかもしれませんが、1本持っておいても損はないブラシです。
【Q&A】スーツのお手入れに関する疑問を解消します!
ここでは、スーツのお手入れに関する疑問をQ&A方式で解消していきたいと思います。きっと多くの方が疑問に思うであろう内容をピックアップしたので、疑問の解消に役立てたら幸いです。
Q:スーツの汗は、どうやってお手入れすればいいでしょうか?
A:洗えるスーツなら洗濯、もしくはクリーニング。洗えないスーツはクリーニングを活用しましょう!
汗は水溶性の汚れなので、水洗いすることで落とすことができます。水洗いできるスーツであれば、注意しながら自宅で洗濯してお手入れすることが可能です。水洗いできないスーツについては、クリーニングに出した方が安心です。
しかし、汗のお手入れでクリーニングを利用する場合は、ウェットクリーニング(汗抜き加工)でクリーニングに出すようにしてください。通常のクリーニングは有機溶剤を使うドライクリーニングのため、油性の汚れは落ちやすいですが汗などの水溶性の汚れは落ちにくいです。注意してクリーニングに出すようにしましょう。
また、下記の記事でスーツの洗い方について詳しく解説していますので、スーツの洗濯方法が知りたい方は参考にしてください。
この記事では、スーツの洗濯方法について知っておくべき基礎知識から、詳しい洗濯方法までをお伝えしていきます。「基本的にスーツはクリーニングに出す!」と言う方がかなり多いかと思います。でも、実はポイントさえしっかり押さえておけば、自宅で[…]
Q:スーツの匂いは、どうやってお手入れすればいいでしょうか?
A:スチームアイロンなどでスチームを当てることで、匂いのお手入れができます!
水洗いでも匂いのお手入れはできるのですが、手軽にできるのはスチームを当てる方法です。匂いのもととなっているのは、主に生地に染みこんだ汗や雑菌です。スチームを当てることで、匂いのもととなっている汗をスチームと一緒に飛ばすことができ、雑菌はスチームの熱で殺菌することができます。
消臭スプレーは、スチームを当てる時間がないときや応急処置で使うのが良いでしょう。
Q:スーツのお手入れ用に、スチーマーなどの家電を新たに購入した方が良いのでしょうか?
A:スチームアイロンでも十分対応できるので、ムリしてスチーマーを購入する必要はありません!
スチーマーはスチームアイロンと比較すると、軽くて持ち運びがしやすく取回しが楽チンなどのメリットがあります。あるに越したことはないお手入れグッズではありますが、どうしても必要かと言うとそんなことはありません。
スチームアイロンのスチームでも、十分にスーツのシワをお手入れすることができますし、匂いのケアもできます。ムリをしてまでスチーマーを購入する必要はないでしょう。
Q:スーツのお手入れセットとしては、何をそろえた方が良いでしょうか?
A:『衣類用ブラシ』『霧吹きスプレー』『スチームアイロン(スチーマーも可)』『スーツ用ハンガー』の4つがあれば良いでしょう!
この記事の中でも、スーツのお手入れに使ったのは上記の4つです。『スチームアイロン』については、すでに持っているという方も多いかと思います。他のアイテムをまだひと通りそろえていないと言う方は、『霧吹きスプレー』はホームセンターなどで購入できますし、他の3つについてはお手入れグッズ”おすすめ3選”で紹介している物の購入を検討してみるのもおすすめです。
まとめ|こまめにスーツのお手入れをして、カッコよく着こなそう!
ここまでスーツのお手入れについて、ポイントやお手入れ方法をお伝えしてきました。スーツにお手入れが必要な理由や、お手入れの大切さが分かったと思います。
- スーツのお手入れは、『生地のダメージを回復させ、スーツを長持ちさせるため』に行う
- スーツのお手入れ方法の基本は、『専用ハンガーの使用』『数着を着回す』『ブラッシング』『シワのケア』の4つがある
- 『ブラッシング』『シワのケア』では、お手入れのポイントがある
楽しんでスーツのお手入れができれば、スーツを良い状態に保ち、カッコよく着こなすことができます。また、クリーニングに出す機会も減らすことができるので、結果的に節約することにもつながります。ぜひ、スーツのお手入れを楽しみながら行い、お気に入りの1着と長くお付き合いしてほしいと思います。
また、どうしてもお手入れをする時間が作れない場合や、お手入れよりも優先順位が高いことに時間を使いたい場合もあると思います。まったくお手入れをしないとスーツにダメージが蓄積していく一方なので、そのような場合には定期的にクリーニングを利用するのも選択肢の1つとして検討してみてください。スーツのクリーニングについては、下記の記事で詳しく解説しているので、よかったらを参考にしてほしいと思います。
この記事では、知っておくと良いスーツのクリーニングに関する基礎知識や、さまざまな疑問について解説していきます。スーツは比較的高価で、ワイシャツなどと比べると気軽に買い替えることが難しいビジネスアイテムです。せっかくお気に入りのスーツを高[…]